2009年5月2日土曜日

Phantom ~Requiem for the Phantom~第五話「刹那」

[アニメ感想]Phantom ~Requiem for the Phantom~第五話「刹那」


真下版ファントム第5話です。


これまでの原作に沿った話と違い、アニメオリジナルのお話です。


今回の話はいわばノワールで言うところの第6話「迷い猫」といったところでしょうか。「迷い猫」は霧香がナザーロフを撃つか撃たないか、殺し屋を続けられるか否かを決定付けるお話でした。

今回の内容も殺し屋としてのツヴァイを描くのに必要不可欠な話です。

インフェルノに楯突くマフィアの抑圧のため、マフィアのボスの家族の殺害という任務を任せられたツヴァイ。たとえ、殺す相手が子供でも殺せるかどうか試されているわけです。まさに、NOIRの第6話。おそらく、他のアニメでは、こういった展開になれば何らかの理由でフラグを回避できるものですが、NOIRとファントムではそれが起こりません。普通は倫理上殺さない、もしくは殺す必要がなくなるようにストーリーが展開するものですが、これらの作品では殺してしまうのですよ。

「あそこは殺さないところだろ」というツッコミをする人がいるかもしれませんが(昔、自分がNOIRを見たころ、友人がそういうツッコミをしていました)、それでは、このアニメの重さが薄れてしまうのですよ。このアニメはそんなに軽いテーマを扱ったものではないのです。そこが揺るがないのが真下監督の良さでもある気がします。

上述した点はNOIRとファントム、この二つの作品で共通の描写なのですが、NOIRとファントムで違う部分もあります。 NOIRでは霧香は一度殺しに失敗しているのです。そして、悩んだ後、殺し屋としての自分を貫くために霧香はナザーロフに向けた銃の引き金を引きます。しかし、ファントムではNOIRのときとは違いツヴァイが殺しを躊躇っているような描写が意外と少ないのです。

このお話はNOIRではまだ引き返すことができたかもしれないターニングポイントだったような気がします。あそこで、引き金を引かなければ、霧香は殺し屋を続けられなかったでしょう。ツヴァイにとってもここはターニングポイントになりえたかもしれませんが、しかし、殺さない選択肢を選べば自分の死に繋がる、つまり、実際には選択肢がないのです。そう、彼には迷う余地がないのです。

遊園地で遊んでいるマフィアの親子の姿をみて、戸惑っているような描写はありますが、それ以上の描写はあまりなく、最後に、迷わず引き金を引いたのはそういう意味合いが込められているのではないでしょうか?

また、今回もいろいろと面白い演出がなされていました。

一番、良かったのツヴァイが子供に銃を向けた時、背景の鏡に自分自身の姿が映るという演出です。例えば、駅のホームに設置してる鏡がありますが、あれはこれから自殺しようとする人が、自殺する直前の自分の姿を見て、自殺を思いとどまらせるためについています。しかし、ツヴァイは一瞬躊躇いはしますが、一歩を踏み出してしまうのです。なかなか見事な演出だと思います。

あと、初めの部分、トランプのマークをフレームとしてスロットが回っている絵を写しているのも工夫されていて面白いと思います。

アインとツヴァイの訓練のシーンでもまた、変なオーラが出ていました。

今回の遊園地のシーン、またしてもアインが明るいアインになっていました。この遊園地のシーンは前回と同様、珍しくモブキャラが動いていましたよ。ビィートレインも変わりましたね。

そして、最後のクロウディアの家で二人きりの状態で部屋の電気が消える演出がまた意味深な感じがします。ゲームであったベッドシーンはこの先あるのでろうか?

今回も面白かったです。次回もアニメオリジナルのお話です。来週も楽しみです。

そろそろ、ファントムのDVDの予約をしなくてはなりませんね。


2 件のコメント:

  1. ターニングポイントとなる話…確かに。
    私も「撃った」からこそ、その苦悩が
    より伝わってくる作品だと思います。
    それにしてもこれほど深く作品を
    観察できる目はすごいです。
    6話以降も楽しみに待っております~

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  2. コメントありがとうございます。
    真下監督作品はその独特な演出ゆえに、受け入れられない場合もありますが、しかし、こういった細かな演出により巧みにキャラクターの内面の描写がなされていて、そういったところに注目してみるとまた面白いものが見えてくるかもしれません。

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