2014年7月20日日曜日

【ネタバレ無し】ジブリの百合作品「思い出のマー二ー」感想

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本日公開の『思い出のマーニー』を観てきました!
期待通りの良い百合作品でした(ただ、オチがオチなだけに終始ストレートに百合というわけではないですが、いい作品でした)。ディズニーの「アナと雪の女王※」といい、大御所がこんなジャンルに手を出すなんて。やっぱり、流行っているんですか!?

��※ この間観てきました、光の演出がすごかった。まさに魔法って感じです!3Dで見たかった!)


今作は作品全体的に悪いジブリっぽさが抜けていて良かったです。
物語の舞台は北海道!
聖地巡礼にすぐに行ける!冒頭の札駅が出てきたときはテンションが上がりました。
あの屋敷も北海道のどこかに存在するのでしょうか!?
今作は音楽と北海道の風景、風、湖畔の静かな水、これらの要素が組み合わさってできる空気がとても良い作品でした。個人的にはすごく好きです。杏奈とマーニーの間の空気感が良かったです。
主人公の杏奈も影があるキャラクターでNOIRの霧香的な感じ。方や陰鬱な短髪キャラ、方や金髪ロングの大人っぽい明るいキャラクターという対照的なキャラクターの組み合わせもNOIRっぽくて、個人的にはツボにハマりました。
一日三つの質問も、徐々にお互いの内面を引き出していく仕掛けとして働いていて良い演出だなと思いました。
二人が行動を共にし言葉を交わしていくうちに、杏奈が成長していくのですが、途中から杏奈が前向きな性格になり始めたあたりから髪型が変わったりして(前髪の長い陰鬱な感じから、オデコを出して明るい感じに)、そこかしこに細かい演出がしこまれていて良かったです。
ただ、後半少し駆け足だったせいか、杏奈の心情変化がつかみにくかったのが少し残念です。ところどころ少し飛んでいいる気がしました。もう少しゆっくりやれればなぁ。でも、それだと観客が寝ちゃうんでしょうね。
思い出のマーニーは個人的には名作だと思います。
ただ、今作品はあまり他人にはおすすめできないかもしれません。
少なくても、もはやみんなが知っているジブリはどこにも存在しないと思うんです(声優に芸能人を起用するとか大人の事情はさておきとして)。
今回の作品はこれまでのジブリと比べるとかなり地味です。目を引くようなマスコットキャラも、千と千尋の神隠しのように独特のデザインの不思議世界というわけでもなく、アリエッティと同じく、日常の中のファンタジーを描く作品です。ストーリーも見る人によっては盛り上がりに欠けるストーリーだというかもしれません。多分、見ている人の中には寝てしまう人も多くいるのではないでしょうか。
宮崎駿が引退して、今回の作品は「今後のジブリは?」という点で世間の注目を浴びているような気がするのですが、おそらく、あまりポジティブな意見を言う人は少ないのではないかと。実際、今日映画を見に行って、公開初日だというのに札幌の劇場がガラガラでした。チケット売り場に行列も出来ていない。これらのことから察するに、今回の作品はこれまでほどヒットはしない気がします。ストーリーも子供向きではないですし。(ジブリのブランド名があるからある程度は売れるとは思いますが)。
でも、個人的にはこれは良い傾向だと思います。
最近のジブリはなんだか、ブランド名だけで注目を浴びているような気がするのです。
ジブリだからとにかく見るとか、内容が良くなくても、ジブリ作品=いい作品という世間的な評価をしている人間が多く存在するように思います。「もう宮崎駿引退しちゃったしなー」とか思って離れていく人はどんどん離れていってほしい。ブランド名じゃなく作品が持つ本来のポテンシャルだけで勝負してほしい。売上的な問題は苦しいかもしれませんが、今回の作品で、改めて作品そのものを見つめ直してもらい、ジブリのファンじゃなくて米林監督の作品のファンが増えればいいなと個人的には願っています。
余談ですが、今回、映画を見て、思い出のマーニーのビジュアルガイドブックも買ったんですが
米林監督のイメージボードに「密着多めに・・・」って、監督っ!
大変いいと思います!密着多かったです!
パンフレットの監督のイラストも必見!監督いい仕事しています!
原作本も買ったのでこれから読みます!